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ドクターズブログ

自己由来脂肪幹細胞を用いた変形性膝関節症の治療について

2017.07.10

変形膝関節症の再生医療に関して、多くの患者様からお問い合わせを頂いております。お電話、メールでお問い合わせに時間の限り対応させて頂いておりますが、診察・治療に時間がとられ、満足なご返答ができない場合もございます。

スタークリニックでは、幹細胞を用いた変形性膝関節症の治療についてのお問い合わせにガイドを作成いたしまた。これは、来院頂き、カウンセリング時にご説明する内容をダイジェストしたものです。

当該再生医療等は、変形性関節症の患者を対象として、患者自身の皮膚組織を酵素処理及び培養して得た間葉系幹細胞(Mesenchyma1 Stem Cells,以下「MSCs」と言います)を関節投与するものです。

MSCsについて

幹細胞は、分裂して自分と同じ細胞を作る能力と、別の種類の細胞に分化する能力を持った細胞で、幹細胞の他にも胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)などがあります。脂肪幹細胞は、ES細胞やiPS細胞といった他の幹細胞に比べ倫理的な問題やが発がんのリスクが極めて低く、また、採取が簡易なので患者様への負担も少なくて済むのが特徴です。投与された幹細胞は傷ついたところに集まり、血管を新生したり、欠損した部分への修復を担います。

治療の流れ

初診日
検査及び培養に用いるために、採血があります。

組織採取
へそ付近の目立たない部分より、ごく少量の脂肪組織を採取します。
医師の指示に従って、抗生物質を服用します。
脂肪組織をとった場所を溶ける糸で縫いますので、縫った糸のところをテープで保護します。
治療の翌日からストレッチ程度の運動は可能です。
痛みを強く感じるときには適宜鎮痛剤を服用します。

培養
採取した脂肪組織から、約3~4週間かけてMSCsを培養します。

MSCsの投与
MSCsの投与に際して、MSCsがあらかじめ決められた手順・方法で作成されていること、あらかじめ決められた検査に適合していることを確認してから、MSCsを投与します。

治療後のフォローアップ

治療後の1か月、3か月及び6か月に、一般的な問診と、来院までに患者さんが何らかの病気になった(なっていた)かについて確認します。また、患者アンケートを行い、治療後に痛みは改善しているか、日常の生活にどのような変化があったかを確認します。また、必要に応じて超音波検査、X線、CT、MRI等の検査を行う場合があります。

期待される効果

変形性関節症は、筋力低下、加齢、肥満などのきっかけにより関節の機能が低下して、軟骨や半月板のかみ合わせが緩んだり変形や断裂を起こし、多くが炎症による関節液の過剰滞留があり、痛みを伴う病気です。

脂肪由来幹細胞は、軟骨を含む多様な細胞に分化できる能力を持つことから、変形性関節症により傷ついた軟骨の再生に働きます。また、脂肪由来幹細胞には炎症を抑える効果のある物質を分泌する性質があり、炎症を抑えることにより症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。

本治療では、患者様本人の脂肪から採取、培養した幹細胞を関節腔に投与することで炎症を抑えるともに軟骨の再生が行われ、症状の改善が期待されます。

考えられる副作用

本治療を受けることによる危険としては、脂肪の採取や細胞の投与に伴い合併症や副作用が発生する場合があります。臨床試験では感染、注射部位の痛みなどの軽微な副作用、健康被害が報告されていますが、いずれも治癒しており、処置が必要であったり後遺症が残る可能性のあるような重大な副作用、健康被害は報告されていません。

他の治療との比較

変形性関節症の治療法には保存療法と手術療法の二つの方法があります。薬物投与、装具装着、リハビリテーションなどの保存法で効果のない場合は、手術療法が選択されます。この疾患は生活習慣が原因の場合が多く食生活の見直し、減量などが効果があります。同時に筋力を維持し膝への負担を減らすことも症状の改善に効果的であり、それだけで罹患現象させたり、進行を遅らせる効果がありますが、保存療法の場合疾病からくる制約による行動範囲の狭まりなどに起因する鬱病、痴呆等の精神疾患を誘発することもあり注意が必要となります。

手術療法では関節鏡と呼ばれる4ミリほどの大きさの棒状器具を6ミリ程度切開した2~3か所の穴から関節内部に入れて行われる小規模のものと、関節の骨そのものを人工関節に置き換えたり金属プレートやクサビ型の骨を骨を埋め込むなど大掛かりなものとがあり、前者で0~1日ほど、後者で1か月ほどの入院が必要になります。前者では手術そのものは小規模であるが、腰椎麻酔を行うため10人に一人程度は脳脊椎液が腰の硬膜の注射部位から体内に漏れて脳圧が下がり激しい頭痛が起こることがあります。

本治療は、人工関節に置換する治療法とは異なり、患者様自身の細胞を用いるため拒絶反応などの心配がなく、軟骨自体の再生による症状の改善が期待されます。